クリスティーナ・ロッセッティの詩より
「何 か 不 足」
クリスティーナ・ロッセッティ
我らにはなにか不足だ しかし何かはわからない、
是でもない 彼でもな しかし確かに何かだ、
我らは周囲に見たくないものを見る。
更に背後をふりかえれば何が見えるか、
見ゆるはただ心をかきむしる失望ばかり
己がものと見えて実は決してそうではなかった望み、
その望みのために我らは人生の辛き荒海に舵を取ったのだった。
背後を見るはすべてむなしく、
左を見、右を見るもすべて空しいのなら、
もう一度未来に向かおうではないか。
勇気を出して大海へ乗り出し、
見えぬものを見んがために霞む眼を見張り、
力強く苦難を耐え忍びつつ行こうではないか。
引用は神谷美恵子『うつわの歌 みすず書房 より